素早く立ち直るために〈書評〉先生、ウジウジ・イライラから一瞬で立ち直る方法を教えてください!

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おはようございます。まいんどーです。

僕は今年大殺界らしく(厄年終わったばっかりなのに)、気休めに正月に護摩を焚いてもらったりしたものの、この9月までに恐ろしい勢いで何度も体調を崩して病院に通いました。

今までの人生でこんな年はありませんでした。それゆえ実はずっとテンションの低い状態が続いているのです。

というわけで今回は、

辻秀一著「先生、ウジウジ・イライラから一瞬で立ち直る方法を教えてください!」(朝日新聞出版)

です。

 

どういう本か

 

スポーツドクター辻秀一がスポーツ心理学の知見を用いて、ウジウジ・イライラせず、自分を感情に振り回されずに物事に取り組める状態「フロー」に保つコツを指南する。

 

3つのおすすめポイント

 

① 物事に意味はついていない

 

ひとことで言えば、『憂鬱な雨』なんてないし、『お出かけ日和な晴れ』というのもない。ただ『雨が降った』『晴れた』という事実があるだけ。(P87)

 

この本の主人公の28歳の会社員は、忙しく働く毎日の中、ちょっとしたことでネガティヴな感情にとらわれてしまうことを悩み、偶然出会った先生から気分良く生きるためのレッスンを受けることになります。その中で先生は物事にすぐ意味づけをする「認知脳」の働きがネガティヴな感情を生むことを教え、物事自体に「意味はついていない」と考えることの重要さを説きます。

ここの部分を読んだ時、僕は頭の中の霧が晴れたような気がしました。あまりにも「意味づけ」によって意味もなく苦しんでいた自分に気づいたからです。

仕事中、同僚に対して「もう片付いているはずの作業がなぜ終わってないのか(怠けていたに違いない!)」とストレスを感じたり、友達に対しては「なぜおごってやったのに『ありがとう』の一言もないのか(当然感謝すべきだ!)」などと怒ったりしてしまいますが、それは「作業が終わっていない」「感謝されていない」という事実でしかない。そこから感情を切り離してフラットに考えることが大切だということをこの本で知って、これだけで本を買った価値があったと思いました。

 

② 「同意」より「理解」が大事

 

『理解』と思えば、もう相手を責める必要もない。何なら物事を進めるために、相手に謝ることだってできる。(137p)

 

人と意見が食い違った時、同意しなければならないと思ったら、お互いの認知脳のぶつかり合いになってしまいます。ここで「なぜわかってくれないのか」と思っているだけでは物事が進みませんし、関係も悪くなる一方です。そこで相手の考え方を理解し、自分はそれを尊重したんだと考えることで、たとえ同意できなくても協力することは可能だというのです。

ここも目から鱗といった感じがしました。意見が異なるのなんて日常茶飯事なのに、自分の意見に固執するあまり、「自分の考えは正しいはずだ」→「それをわからない相手が悪い」というパターンにすぐハマってうまくいかないことばかりだからです。何か達成したい目的があって、相手の力が必要ならば、そこに集中すべきなんですよね。その場での勝ち負けにこだわって協力できないなんて、賢くなかったなあと反省しました。

 

③ 今、この瞬間の自分に生きる

 

こんなふうに時空をさまよい、意味をつける認知脳を止めることはできない。そこで重要なのは、『今、この瞬間の自分に生きると考える』ことなんだ(158p)

 

認知脳は時間を超えて、過去の思い出や未来への心配にも意味づけをしようとします。人生が「今」という瞬間の積み重ねである以上、その「今」を認知脳に邪魔されてフローの状態でいられないとしたら、それこそが大きな問題です。そうならないためにスキルを磨き続けることが必要だというわけです。

磨き続けるというのは、先生に教えてもらったフローになるためのレッスンは知識として知っただけでは自在に使えるようにならないということです。いくらフローでいようと思っても予期しない不運に見舞われ乱されることは起こり得ます。たとえそうなってもすぐ心の状態をフラットに戻せるように自分を鍛えていく心がけが大事なのでしょう。

 

ろがるポイント!】(本筋と関係なく面白いと思ったところ)

 

僕は28歳・会社員。(1p)

 

主人公について語られているのはこれだけです(多少本文中で生活について語りますが)。イラストを見ると、真ん中分けの髪型のメガネの男が膝を抱えてのの字を描いています。

想像する余地があるという言い方もできますが、「ちょっと設定ガバガバすぎないか?」と最初に心の中でツッコミを入れてしまいました。すいません。

 

まとめ

とにかくポジティブ思考をすべき、という自己啓発本が多いですが、それとは一線を画する新しい考え方が示されていて、すごくためになります。早速この本で教えてもらった「今に生きる」思考法を生活の中で試してみようという気になりました。