情熱を持って働く〈書評〉私のウォルマート商法 すべて小さく考えよ

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おはようございます。まいんどーです。

一番家から近いスーパーは西友です。24時間営業で、駐車場も広く行きやすいスーパーです。この西友に輸入食品が入っていて、それがウォルマートの傘下に入っているからだとわかって、ウォルマートとはどんな会社なのか気になったのが、この本を読んだきっかけでした。

今回紹介するのは、サム・ウォルトン著 渥美俊一・桜井多恵子監訳

「私のウォルマート商法 すべて小さく考えよ」(講談社+α文庫)

です。

 

どういう本か

 

創業から四十年で世界一の小売業チェーンとなったウォルマートの創業者サム・ウォルトンの自伝。ウォルマートの成長の歴史とサムの経営哲学が語られる。

 

3つのおすすめポイント

 

① 野心と情熱。サム・ウォルトンの熱意がとにかくすごい

 

私はいったん興味を抱いたら、結果を出すまで全力をあげてやり通した。取り憑かれていた、という人もいるだろうが、私はいつも実力より高くバーを設定してきた。(46p)

 

サムは幼少期から何事にも全力を尽くし、結果を出しています。高校時代で身長170cmほどとアメリカ人としてはさほど体格のいい方ではないのに、バスケットでもフットボールでも州大会でチームが優勝するほど活躍し、生徒会長をやり、優等生名簿にも載るというすごい活躍をしています。この全力を尽くすという姿勢は母ナンシーの影響が大きかったようです。

ディスカウントストア事業を始めてからも、持ち前の競争心と行動力で問題を解決し結果を出していきます。

僕は受動的で周りの人の顔色をうかがってしまう方なので、このサムの生い立ちのくだりを読んであまりの自信と行動力に圧倒されました。持って生まれた性格とか気質と言ってしまえばそれまでですが、それを育む家庭環境や宗教観なども影響していたでしょう。

 

② 他社から学ぶ姿勢

 

このように、私がやったことの大半は他人の模倣である。(87p)

 

27歳で独立したサムはアーカンソー州ニューポートの店を買って商売を始めますが、それはベン・フランクリンというチェーン店のフランチャイズでした。まだ経験の浅かったサムはチェーン店のマニュアルに従って経営していきますが、通りの向かいにあるライバル店スターリングストアに足しげく通い、そこの経営者ジョン・ダナムのやり方を貪欲に学んでいきます。やがてマニュアルから離れて、独自の仕入れルートを見つけ、薄利多売のディスカウントストアの手法を身につけていきました。サムはその後も自分の事業を進めながら他社の店舗の観察を続け、自分の店の改善につなげていきます。

これは個人としても参考になりますね。たとえ自分のライバルであっても、自分が学ぶべきところがあったらどんどん学んでいく。なかなかプライドが邪魔して素直に相手を認められない時もありますが、小さなプライドのために損をしたことも今までたくさんあったな、と自分の過去を振り返って反省しました。

 

③ 顧客第一主義

 

小売業の成功の秘訣は、「お客が望むものを提供する」ことである。(284p)

 

西友でも見かけるキャッチフレーズに、”Everyday Low Price”というのがあります。これはチラシを出し、一時的に特売をするのではなく、恒常的に低価格販売をすることです。サムはこれによって顧客が節約することに貢献できると信じ、薄利多売に徹しました。そしてそれを実現するために、コストカットや情報管理のシステム化などを推し進めていくのです。

おそらく儲けだけを考えていたらここまで大きな仕事はできないだろうと思いました。ウォルマートの発展はサムの競争心や行動力、そして家族・社員の協力の結果ですが、それは「こうありたい」という顧客サービスに対するビジョンがあったからできたのだと思います。

 

ろがるポイント!

 

・フェアベリー店(ネブラスカ州)では、地元のパレードに「ショッピングカート器械体操チーム」を毎年参加させている。(268p)

 

このブログで以前、僕がショッピングカートが好きだというお話をしたことがあるのですが、第十一章「ウォルマート的社風の創造」のこのくだりを読んで驚きました。ウォルマート各店の地域活動の中で、この店ではショッピングカートを押しながら輪を描いたり、旋回したりする体操を行っているというのです。

まさにそれは僕が日頃スーパーでやろうと思っていながら人目を憚ってできない「ショッピングカートと思いっきり戯れる行為」そのものではないですか!

さすがウォルマート。わたしまけましたわ。

 

まとめ

 

僕は伝記が好きな方で、映画でも「JFK」とか「マルコムX」とか好きでした。この本を手に取ったのは西友がきっかけでしたが、こんなすごい人生もあるのか、と改めて伝記の面白さを知ったような気がします。