おはようございます。まいんどーです。
会社の同僚に某女性アイドルグループの握手会によく行っているファンがいるのですが、その影響でそのグループの番組を見るようになりました。意外とバラエティ番組として面白かったのです。番組の中で目立つ子もいればなかなかスポットが当たらない子もいたりして、「この子たちなりにグループでのポジションとか将来どうするのかとか考えてるんだろうなー」と興味が湧いてきました。
ということで今回は、
仲谷明香(AKB48)著「非選抜アイドル」(小学館101新書)
です。
【どういう本か】
AKB48メンバー仲谷明香が、選抜メンバーに選ばれない「非選抜」のアイドルとしての活動、そして夢について語る。
【3つのおすすめポイント】
① 夢への過程としてのアイドル
それは、同じクラスのあっちゃんがすでにメンバーだったということもあるが、それ以上に、声優という夢を持ってアイドルをやるということが、とても理に適ったことのように思われたのである。(38p)
ちなみにこの「あっちゃん」とは、現在は女優として活動されている前田敦子さんのことです。
仲谷さんは本来声優志望で、一時期養成所にも通っていましたが、経済的な事情でそれができなくなりました。その後前田さんがAKB48で活動していることを知って、自分もAKBに入れば声優になるという夢に近づけるかもしれないと考えるようになるのです。
直接夢の実現に向かえない状況の時、少しでも近づこうと行動していけるのはやはり若いからでしょうか。仲谷さんの場合は他に選択肢がなかったとも言えそうですが、もし自分だったら声優とアイドルでは求められるものが違うのではないかなどと考えて、進めないかもしれないと思いました。
② 苦手なことを捨てる
私は、アイドルとして常識的にはあり得ないと誰もが考える、「人気を得る」ことをあえて捨てるという戦略を取ったのだ。(73p)
仲谷さんは選抜メンバーに選ばれないことに対して、人気を得て選抜に入ろうとするのではなく、歌とダンスを磨いて劇場公演で活躍し、また人気メンバーの代役を積極的に引き受けることによって、自分の存在意義を示そうとします。それは「人気を得るために努力する」ということが自分の性格や資質を考えると向いていない、と感じたからでした。
普通に会社勤めをしていても、自分が今やっている仕事に向いてない気がする、とか有能な同期にどうしても敵わないということはよくあると思います。しかしどこで働いていても、チームの中で何らかの役に立たなければやっていけません。もし普通に求められていることが充分にできないなら、自分は何で貢献するのか、そういう考えが必要だということですね。
③ 夢に近づく
岩崎さんは私の夢が声優であるということも知っていてくれた。そして、AKB48のイベントなどで、余興で声優さんのものまねをすることなどを、ずっと見ていてくれたのである。(141p)
仲谷さんはAKBと関わりのあった作家岩崎夏海氏にチャンスを与えられ、ついに声優の仕事をすることができました。それは仲谷さんが声優志望であることをすでに周囲に話しており、さらに人気がなくともチームに貢献するべく努力を重ねていたことを岩崎氏が知っていたからでした。
努力していれば誰かが見ていてくれる、とは必ずしも言い切れないかもしれませんが、自分がこれをやりたい、ということを機会あるごとに表明しておくというのは大事かもしれないと思いました。誰がそれを聞いていて、どういうタイミングでチャンスが来るかわからないからです。そしてチャンスが来た時に尻込みしないということですね。仲谷さんがチャンスをものにできたのは、声優になるための行動を一度はしていて、その上でこの仕事(オーディオブックの朗読)で全力を尽くしたからでした。
「チャンスを得る」、そして「それをものにする」という両方ができないといけないんですね。
【ろがるポイント!】
オーディションも勉強の場と割り切って、貪欲にスタッフの方の意見や意向を取り入れようとしただけだったのだが、それがどうやら功を奏したのだ。(172p)
仲谷さんは作中で自身を頑固なところがあると自己分析していますが、声優のオーディションではスタッフの意見を素直に受け入れて対応し、そのことが評価を受けています。自分の実力に自信を持つことも大切ですが、その場で何を求められているのかを素早く理解し、柔軟に対応することも重要なんですね。
【まとめ】
アイドルというのはアイドルとして活躍することそのものに憧れてなるのが当たり前だと思っていたので、この仲谷さんのようなタイプの人もいるというのは興味深かったです。「自分とどう向き合って夢に近づいていくのか」という問題は、アイドルだけでなくどんな職業に就いていても参考になる普遍的なテーマだと思いました。