普通のサラリーマンの生き方を学ぶ〈書評〉僕たちはガンダムのジムである

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おはようございます。まいんどーです。

好きなバラエティ番組をいつも録画して観ているのですが、忙しくなってくるとなかなか観る時間がなくてたまってきますよね。しまいにはだんだん義務感で観るようになってきたりします。

この感覚何かに似ているなと思ったらソーシャルゲームでした。最初は面白いと思ってやっていたのがだんだん惰性でやるようになってくるあれです。ログインボーナスなんてもらってどうすんの、ってことです。

というわけで今回は、

常見陽平著「僕たちはガンダムのジムである」(日経ビジネス人文庫)

です。

 

【どういう本か】

労働社会学者・働き方評論家常見陽平が、サラリーマンはガンダムの量産型モビルスーツ・ジムであるという例えから、普通の会社員の働き方について語る。

 

【3つのおすすめポイント】

 

① ジムであることを認める

 

僕たちは「ガンダム」のジムである。

多くの人は量産型のジムのようなものであり、その他大勢の一人なのだということを謙虚に受け止めたい。(29p)

 

つまり突出した能力を持たない、平凡な社員を例えているんですね。ちなみに小心で悪いこともできないからザクでもない、らしいです。筆者は1974年生まれでロスジェネ世代とのことですから、僕とほぼ同年代ですね。あのリクルートで会社員生活を送っていますから、かなり優秀な人だと思いますが。

ジムであることを認めるところから、新卒を日本の企業がどのように教育し、企業の論理を叩き込んでいくかが詳細に語られます。もともと民間人の集まりだったアムロをはじめとするホワイトベースのクルーが、軍人として成長していく様子になぞらえていくのです。

 

② 「すごい人」(ガンダム)にならなければいけない病

 

それでも、その他大勢から抜け出したいから、ジムである自分を認められないから、みんな「キャリアアップ」や「スキルアップ」に踊らされ、気づけばアップアップしている。(135p)

 

これはすごくよくわかりました。僕は特にキャリアアップに邁進しているつもりはないですが、就職して普通に働きつつも、キャリアアップ・スキルアップは当然取り組むべきものだ、という風潮は世間にありますよね。筆者はそういった言葉に踊らされてうかつに転職して失敗しないようにと言います。すごい人にならなければいけないという思い込みによって、迷走していく危険があるというのです。

 

③ やらされた仕事で強くなる

 

すべて、好き好んでやったわけではなく、やらされた仕事だ。当時は、「もっと別の仕事をしたい」と思っていたものばかりだ。ただ、後で振り返ると、これは自分の武器になっているのだ。(214p)

 

筆者は自分が二十代の頃にやらされた、全く気の進まない営業職でのコミュニケーション、飲み会での宴会芸、企画書や見積書の作成。それが後になって役に立っているといいます。

これは正直会社の大きさにもよると思いました。筆者のように大企業でたくさんの経験を積まされた人は、結果的にいろいろ役に立つスキルを(意図しなくても)身につけられると思いますが、それはある意味非常に恵まれた環境にいたとも言えると思います。

中小企業でまったく業務の内容に幅がなく、決まり切った仕事を続ける人も多いでしょう。とはいえ、やらされたことの中にある技術を吸収し、自分のものとする意識は常に持ちたいですね。

 

【ろがるポイント!】

 

夢を叶えるには実行しないといけない。僕は夢を叶えるために、1日最低でも5000字の原稿を書き、1日3000本以上の記事に見出しだけでも目を通し、月に20冊以上の本を買い、日々、人に会って情報収集をし、週に8コマの講義と、数本の講演をしている。(235p)

 

関係ないですが、この一文を見て宮沢賢治の「雨ニモマケズ」を思い出しました。いつも静かに笑っているだけでは夢は叶いませんね。

これは覚悟の問題だと思いました。考えるのも実行するのも自分であり、夢のために行動することを決めたら、もう誰のせいにもできず、必死にやるしかないということでしょう。それは言われたことだけこなし、会社に対する不満を飲み屋で愚痴って発散する普通のサラリーマンとは対極にある生き方です。

 

【まとめ】

この本には労働法を学び、ブラック企業から身を守ることなども提言されています。

平凡な能力しか持たないジムである自分を認め、どうやって生き残っていくか、地に足をつけて考えていこうという著者のメッセージは、夢を見せることにばかり重点を置きがちな自己啓発本と違って新鮮でした。